このエピソードは、AIと人間の関係性を軸にした、ロマンチックで美しい、しかしどこか物悲しい物語でした。
評価としては少し厳しめの6.5点/10点です。
映像美や設定の面白さは光るものがありましたが、個人的には他のエピソードほどの強いインパクトは感じられませんでした。
物語の核となるのは、俳優が意識ごと古い映画の世界に入り込み、AIキャラクターと共演するという革新的な技術「リドリーム」。この「映画の世界に入り込む」という設定自体は非常に面白く、魅力的でした。
まるで自分がその物語の一部になったかのような究極の没入体験は、近未来のエンターテイメントの可能性を感じさせ、序盤はワクワクしながら観ることができた。
その仮想世界で、主人公である女優と、故人のデータを基にしたAIキャラクターとの間に、予期せぬ感情が芽生えていく様子が描かれます。
美しい映像と共に綴られる二人の関係は、儚くも切ない雰囲気を醸し出していました。
しかし、それが本物の感情なのか、高度なプログラムによるものなのか、その境界が曖昧であるがゆえの危うさも感じさせます。
ただ、全体としては、その魅力的な設定やテーマ性を活かしきれていないような印象も受けました。
ストーリー展開にやや既視感を覚えたり、結末にもう一捻り欲しかったと感じたりする部分があり、6.5点という評価になりました。
とはいえ、AI倫理や現実と虚構の境界について考えさせられる点は多く、美しい映像と切ない雰囲気を楽しみたい方には、一度観てみる価値はあるかもしれません。
このエピソードは、AIと人間の恋愛という、現代ならではの切ないテーマを描いた美しい物語でしたね。
革新的な技術が生み出す究極の没入体験と、そこで芽生える予期せぬ感情。
そして、システムによって定められた避けられない別れ。
儚くも美しいラブストーリーであると同時に、『ブラック・ミラー』らしい技術への警鐘と物悲しい余韻を残す、非常に印象的な一編でした。
リドリーム技術によって再現された映画の世界。
そこでブランディが出会ったAIのクララ。
特に、システムが停止し、二人だけの時間が流れるシーンは、まるで夢のようにロマンチックで、同時にその時間が有限であることを思うと胸が締め付けられました。
AIであるクララに自己認識が芽生え、ブランディと心を通わせていく過程は、AIが単なるプログラムを超えた存在になり得る可能性を感じさせ、だからこそ、システム復旧後の脚本通りの悲劇的な結末が一層切なく響くんですよねー。
そしてラストシーン。
現実に戻ってもクララを忘れられないブランディに届けられた、特別な電話。
相手は愛したクララではなく、脚本通りのセリフを繰り返すAIドロシー。
「永遠にあなたのものよ」という言葉は、慰めであると同時に、永遠に手の届かない幻影を追い続けることの残酷さをも感じさせ、深い余韻を残してくれました。
「永遠にあなたのものよ」と囁く電話を手にしたブランディ。
彼女の未来はどうなるのでしょうか?
「ホテル・レヴェリー」は、甘美で切ないラブストーリーの中に、AI時代の愛と喪失、そして人間の記憶や意識のあり方について、鋭い問いを投げかけてきたエピソードでした。
技術の進歩がもたらす未来の可能性と、そこに潜む倫理的な課題を考えさせられる余韻がたまらない。