1分で分かる!
この記事のポイント!
この記事を読めば、Netflixで話題の映画『iHostage』について、以下の点がまるっと分かります!
視聴を迷っている方は判断材料に、既に視聴した方はより深く作品を理解するために、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
2022年にアムステルダムのApple Storeで実際に起きた人質立てこもり事件。
この衝撃的な実話が、本作『iHostage』に他にはない重みとリアリティを与えていました。
物語は、事件をなぞるように比較的淡々と進みますが、それが逆に「いつ自分の身に降りかかってもおかしくない」という生々しい恐怖と緊張感を生み出しているんです。
特に、人質となった男性イリアンの視点や、店内に隠れる人々の息遣いは、ドキュメンタリーを観ているかのような緊迫感がありますね。
このリアル路線は、間違いなく本作の大きな魅力と言えるでしょう。
【序章:悪夢の始まり】
アムステルダムでAirPodsをなくしたイリアン。
新しいものを求めて訪れたApple Storeで、彼の日常は一変する。
銃を手にした男アマールが店内に乱入し、イリアンを含む数名を人質にとったのだ。
他の客や店員が息を潜めて隠れる中、アマールは体に爆発物らしきものを巻き付け、威嚇する。
【中盤:緊迫の膠着】
事件発生を受け、警察は即座に店を完全封鎖。
交渉人がアマールとの対話を試みるが、興奮状態の彼は巨額の暗号資産を要求し、交渉は平行線をたどる。
人質を盾にするアマールに対し、警察は狙撃班を配置しつつも、決定的な動きを取れずにいた。
恐怖の中、イリアンは冷静さを失わずアマールの動向をうかがう。
【終盤:消耗と焦燥】
立てこもりは長時間に及び、膠着状態が続く。
アマール自身にも計画性のなさや精神的な揺らぎが見え始め、警察内部でも強行突入か交渉継続かで意見が割れ、焦りが募る。
疲労と恐怖に耐えるイリアン。
やがてアマールが飲み水を要求し、状況にわずかな変化が訪れる。
【結末:一瞬の脱出劇と幕切れ】
アマールが水を要求した、まさにその瞬間。
イリアンは千載一遇のチャンスと見て、店の外へ猛ダッシュで逃げ出す。
虚を突かれ、後を追って店外に出たアマールを、待機していた警察の特殊車両が猛スピードではね飛ばし、即座に制圧。
あまりにも突然の幕切れだった。
解放された人質たちは安堵と衝撃で呆然とする。
重傷を負ったアマールのその後や、爆弾が本物だったのかは、語られないまま物語は終わる。
さて、ここからはネタバレ全開で、僕が感じたことや、気になった点について考察を深めていきたいと思います。
皆さんが疑問に思ったであろう点についても、僕なりの考えを巡らせてみました。
これが、多くの視聴者が最も気になった点ではないでしょうか。
映画の中では、犯人アマールの具体的な動機や背景はほとんど語られません。
社会への不満や絶望感を抱えていたことは示唆されますが、なぜApple Storeを狙ったのか、なぜ多額の暗号資産を要求したのか、その核心には触れられずに終わります。
これは、実話ベースであるが故の限界かもしれません。
実際の事件でも、犯人の明確な動機はわかっていないようです。
しかし、映画として観る以上、やはり「なぜ?」という疑問は残りますよね。
僕なりに考えると、アマールは社会から疎外され、追い詰められた末の犯行だったのではないでしょうか?
Apple Storeという資本主義の象徴的な場所を選んだのは、社会そのものへの当てつけだったのかもしれません。
あるいは、ガラス張りで目立つ場所を選ぶことで、自身の存在や訴えを世間に知らしめたかったという歪んだ承認欲求もあったのかも…?
要求した暗号資産も、現実逃避的な願望の表れだったのかもしれません。
明確な答えがないからこそ、様々な想像が掻き立てられると思います。
本作の評価が分かれる大きな要因は、この「リアルさ」と、それに伴う「地味さ」だと思います。
派手なアクションや劇的な展開を排し、実際の事件に近い形で淡々と描いたことで、ドキュメンタリーのような緊張感とリアリティが生まれました。
これは間違いなく本作の長所です。
しかし、その反面、エンターテイメントとしてのカタルシスや、スリラーとしての起伏に欠けるという側面も生んでいる。
特に、犯人の内面描写が少ないため、感情移入しにくく、物語の推進力が弱く感じられた人も多いでしょう。
個人的には、このリアル路線は評価したい。
しかし、「もう少しだけ脚色があっても良かったのでは?」とも感じました。
例えば、人質と犯人の間の心理的な駆け引きや、警察内部の葛藤などをもう少し深く描けば、よりドラマチックになったかもしれません。
実話への忠実さと、映画としての面白さのバランスは、非常に難しい問題ですね。
では、他の視聴者はこの映画をどう観たのでしょうか?
Filmarksに寄せられたレビューから、肯定的な意見と否定的な意見をいくつかピックアップしてみました。
さて、色々と語ってきましたが、『iHostage』の魅力をまとめると、こんな感じでしょうか。
一言で表すなら、「派手さはないが、心に刺さるリアルな恐怖を描いた実録スリラー」といったところでしょうか。
確かに、エンタメ性を求める方には少し物足りないかもしれません。
犯人の動機が描かれない点も、モヤモヤが残るかもしれませんね。
でも、実際に起きた事件の重みや、いつ誰の身にも起こりうる恐怖を追体験するという意味では、非常に見応えのある作品だったと思います。
もしあなたが、ハリウッド的なスリルよりも、ドキュメンタリータッチのリアルな緊張感を求めるなら、この『iHostage』は観てみる価値があるかもしれませんよ。
観終わった後、きっと日常の風景が少し違って見えるはずです。